共有名義の不動産はどのように相続登記をおこなう?手続きの手順などを解説

共有名義の不動産はどのように相続登記をおこなう?手続きの手順などを解説

亡くなった親の土地や建物を相続した相続人は、定められた期限内に相続登記をしなければなりません。
もし兄弟や姉妹など複数人で不動産を相続するとなったら、どのように手続きを進めれば良いのでしょうか。
この記事では相続登記とは何かをお伝えしたうえで、手続き方法や共有名義にするメリット・デメリットも解説します。
今後不動産を相続する予定がある方や共有名義にしようかお悩みのお方は、ぜひ参考になさってください。

不動産を共有名義にする前に知っておきたい!相続登記とは

不動産を共有名義にする前に知っておきたい!相続登記とは

相続登記とは、不動産の名義を被相続人(亡くなった方)から相続人に変更する手続きです。
相続登記をする際には、相続人全員で話し合い、誰が被相続人の不動産を取得するか決める必要があります。
このときに2人以上で不動産を共有することがあり、これは共有名義の相続登記となります。
また、各相続人が法定相続分に応じた共有持分を相続した場合も同様です。
法定相続分とは、民法に定める相続人が2人以上いる場合に、各相続人が取得する相続財産の割合です。
たとえば母の遺産が不動産しかなく、この不動産を父と子ども2人で法定相続分に応じて分けるとしましょう。
その場合は父が2分の1、2人の子どもはそれぞれ4分の1の持分で不動産を共有することになります。

共有名義の相続登記をおこなう理由

共有名義の相続登記をおこなう理由には、相続人間で協議の上決定する場合と、やむを得ず共有名義にする場合と2通りあります。
たとえば相続人間の不公平感をなくすために、全員が納得したうえで共有名義にすることがあります。
また相続人間の話し合いで誰が不動産を相続するか決まらない場合、共有名義にするケースも珍しくありません。

相続登記は義務

相続によって不動産を取得した方は、所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
相続登記はこれまで任意の手続きでしたが、令和6年4月1日から義務化されています。
単独名義でも共有名義でも、不動産を相続したら相続登記が必要なので、期限内に手続きを済ませるようにしましょう。
なお、正当な理由がないまま登記をおこなわずにいると、10万円以下の過料が科される可能性があります。

共有名義の相続登記の手順

共有名義の相続登記の手順

共有名義でも単独名義でも、相続登記の手順はほとんど変わりません。
一般的な相続登記の流れは以下のとおりです。

●相続した不動産に関する情報を集める
●登記申請書を作成する
●法務局に登記申請書および必要書類を提出する


それぞれの工程について解説します。

相続した不動産に関する情報を集める

まずは相続した不動産に関する情報を集めるため、不動産の所在地を管轄する役所の税務課で「名寄帳」を取得しましょう。
名寄帳とは、課税対象になっている土地や家屋を所有者ごとに一覧表にまとめた書類です。
名寄帳を請求できるのは固定資産税の納税義務者に限られますが、本人が亡くなっている場合は相続人が取得できます。
あわせて、法務局の窓口や郵送、オンラインのいずれかの方法で「登記簿謄本(登記事項証明書)」も取得しましょう。
登記簿謄本(登記事項証明書)には、不動産の所有者や住所、権利情報、構造などの情報が記載されています。
取得時には、土地の場合は地番、建物の場合は家屋番号などが必要なので、あらかじめ調べておくことをおすすめします。
地番は権利証や固定資産税の納税通知書、家屋番号は名寄帳や権利証で確認が可能です。

登記申請書を作成する

不動産の調査が終わったら、法務局に提出する登記申請書を作成します。
申請書は法務局の窓口で取得する他、公式ホームページからダウンロードすることも可能です。
記載方法についても法務局のホームページで確認できるので、それを見ながら必要事項を記入していきましょう。

法務局に登記申請書および必要書類を提出する

登記申請書を作成できたら、必要書類とあわせて法務局に提出します。
必要書類は以下のとおりです。

●不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)
●遺言または遺産分割協議書
●被相続人の死亡時から出生時までの戸籍謄本
●被相続人の住民票の除票
●相続人全員の戸籍謄本・住民票
●固定資産評価証明書
●法定相続人の印鑑証明書


登記申請をおこなう際には、登録免許税を納めなければなりません。
登録免許税の税率は、不動産価格(固定資産税評価額)の0.4%です。

共有名義で不動産を相続するメリット・デメリット

共有名義で不動産を相続するメリット・デメリット

不動産を共有名義にするとトラブルに繋がるリスクがあるため、あまりおすすめはできません。
しかしメリットもあるため、デメリットとメリットをそれぞれ比較したうえで検討することが大切です。
以下に、不動産を共有で取得するメリットとデメリットを解説します。

不動産を共有名義にするメリット

共有名義で不動産を相続するメリットは、公平性を保てる点です。
民法で定められた法定相続分の割合は、相続人間の公平を趣旨として定められています。
共有、とくに法定相続分で共有すれば相続人から不平不満が出にくくなるので、協議がスムーズに進むでしょう。
遺産分割協議が難航すると、相続登記がなされないまま時間が過ぎてしまい、過料の対象となる可能性もあります。
いったん、法定相続分で共有名義の相続登記をおこなうことで、腰を据えて遺産分割協議を進められるでしょう。

不動産を共有名義にするデメリット

共有名義で不動産を相続するデメリットは、将来トラブルに発展するリスクがあることです。
不動産を売却したり活用したりしたい場合、共有者全員から合意を得なければなりません。
売却に限らず、長期間の賃貸借や大規模修繕なども全員の同意が必要であり、共有者が多いほど意見がまとまらない可能性があります。
また共有者の誰かが亡くなった場合に、権利関係が複雑になりやすい点もデメリットの1つです。
共有者の1人が亡くなると、その相続人が共有持分を相続し、その相続人が亡くなると、さらにその相続人が共有持分を相続します。
その結果、共有者が多数かつ関係の薄い者同士となり、知らない方が共有者になっていたというケースは珍しくありません。
そうなると共有不動産を処分する際に、共有者の意見を一致させるのがより一層困難になることが予想されます。
ご自身が亡くなった後に、大切な子どもや孫に苦労をかけせず、円満に相続を進めてほしいですよね。
将来のことを考えるのであれば、不動産は共有名義にしない、もしくは共有名義にしたあとに単独名義に変更することをおすすめします。
なお共有名義であっても、固定資産税の通知書や管理費の徴収は代表者に郵送されてくる点にも注意が必要です。
本来であれば、共有者全員が平等に支払いを分担し、代表者に支払わなければなりません。
しかし他の共有者が支払いを拒否したとしても、法的にペナルティが課せられるわけではないため、負担が偏る可能性があります。
さらに共有者の1人が認知症になってしまった場合、後から土地や建物を売却したいと思っても意思確認ができません。
このような場合は成年後見人を立てて遺産分割協議をしなければならないため、ほかの共有者にとって負担が大きくなります。

まとめ

共有名義で不動産を相続すると、複数人で所有権を持つため、公平性を保ちやすいといったメリットがあります。
しかし、売却や活用をする際には共有者全員の合意が必要になり、関係性によってはトラブルに発展する可能性があります。
共有名義の不動産登記にはメリットとデメリットがあるため、長期的な視点でどちらの選択が優れているのかを考え、相続人全員でよく話し合ったうえで検討しましょう。