共有名義の空き家を解体する方法とは?注意点や費用の負担についても解説

共有名義の空き家を解体する方法とは?注意点や費用の負担についても解説

親から相続した空き家を使用する予定がないため、空き家を解体して更地にしたいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産の名義には単独名義と共有名義があり、空き家が共有名義の場合は、個人の独断で活用したり、解体して処分したりすることはできません。
そこで今回は、共有名義の空き家を解体する方法と注意点、解体費用の負担について解説します。
空き家を共有している方は、ぜひ参考にしてみてください。

共有名義の空き家を解体するには?その方法とポイント

共有名義の空き家を解体するには?その方法とポイント

まずは、「そもそも共有名義とはなにか」といった基礎知識から確認しておきましょう。

不動産の共有名義とは

共有名義とは、1つの不動産を複数人が共同で所有していることです。
共有名義で登記手続きをおこなった場合、不動産の登記簿には共有者全員の名前が記載されます。
共有名義になるケースとして考えられるのは、親子や夫婦が共同で出資して不動産を購入する場合や、1つの不動産を複数人で相続した場合などです。
共有名義の場合、不動産に対して個別にできることと、共有者全員の同意が必要なことなど、行為に対する制限が以下のように設けられています。

●保存行為(不動産の修理や不法占拠者の対応)…個別に実行できる
●管理行為(不動産の貸し出しなど)…過半数の持分で実行できる
●変更行為(不動産の増改築や売却・解体など)…共有者全員の同意が必要


解体は、不動産を変更する行為であるため、共有者全員の同意がなければ実行できません。

解体する方法

空き家を解体することは、先述のとおり、共有物の形状や性質を変更する「変更行為」に該当します。
したがって、共有名義の空き家は、共有者全員の同意を得れば解体できます。
しかし、共有者全員とスムーズに連絡が取れないケースも少なくありません。
たとえば、共有者が亡くなっていたり、行方不明になっていたりなど、連絡が取れない場合は、以下のような方法で話を進めることができます。
共有者が亡くなっている
もともと共有者だった方が亡くなっている場合、その方の相続人の同意を得る必要があります。
不動産を相続すると、その名義を被相続人から相続人に変更する「相続登記」をおこなうことが義務付けられています。
したがって、共有者が亡くなっており、その不動産をだれが相続したのかを知りたい場合は、登記簿を確認してみましょう。
相続登記が完了していない場合は、まず手続きを済ませる必要があります。
音信不通で連絡が取れない
共有者が行方不明や音信不通で連絡が取れない場合は、不在者財産管理人を選任すれば、代わりに同意を得て空き家を解体することができます。
なお、不在者財産管理人を選任するためには、裁判所への申立てが必要です。

共有名義の空き家を解体するときの注意点

共有名義の空き家を解体するときの注意点

次に、共有名義の空き家を解体するうえでの注意点について解説します。
空き家が共有名義の場合は、以下のような注意点をふまえて解体を検討してください。

注意点1:勝手に解体すると損害賠償を請求される

空き家が共有名義になっているということは、共有者全員の財産であるということです。
先述のとおり、保存行為や管理行為は、単独や過半数の持分で実行できます。
しかし、変更行為にあたる解体は、共有者全員が同意しなければ実行できないため、もし同意を得ないまま解体すると、違法行為に該当します。
勝手に解体すると、同意していない共有者から損害賠償を請求されるようなトラブルに発展することもあるため、かならず全員の同意を得ることが大切です。

注意点2:話し合いが長期化する場合がある

共有者が多数いると、空き家の解体について反対する方もいるかもしれません。
また、解体については同意を得られても、どの業者に依頼するのか、いつ工事をおこなうのかなど、具体的な方法で意見が合わないこともあります。
したがって、業者から見積もりを取り、スケジュールをある程度立てたうえで話し合いの場をもつことをおすすめします。
さらに、共有者が亡くなっていたり音信不通だったりすると、調査に時間がかかり、話し合いが進まないケースも少なくありません。
共有名義の空き家の解体には、それなりの期間がかかることを想定しておく必要があります。

注意点3:解体後は滅失登記が必要

空き家を解体したあとは、滅失登記をおこなう必要があります。
滅失登記とは、建物がなくなったことを登記簿に反映させる手続きです。
空き家を解体した日から1か月以内に申請しなければならないため、忘れずに手続きしましょう。
なお、滅失登記の申請は、共有者のうちの1人がおこなえます。
申請を怠ると、過料が発生する可能性がるため注意が必要です。

空き家の解体費用の相場と共有名義の場合の負担割合

空き家の解体費用の相場と共有名義の場合の負担割合

空き家を解体するためには、多額の費用がかかるため、どれくらいの資金を準備しておく必要があるのかを事前に把握しておきたいですよね。
また、共有名義の場合、解体費用をだれが負担するのかについても確認しておきましょう。
そこで最後に、空き家の解体にかかる費用の相場と、共有名義の場合は解体費用をどうすれば良いのかについて解説します。

解体費用の相場

空き家を解体する際の費用は、建物の構造によって差が生じます。
1坪当たりの費用の相場は、以下のとおりです。

●木造…約4万円~5万円
●軽量鉄骨造…約6万円~7万円
●鉄筋コンクリート造…約7万円~8万円


空き家の解体費用は、頑丈な建物ほど解体する手間がかかるため、高くなるのが一般的です。
上記の相場を参考にすると、30坪の木造住宅を解体するためには、約120万円~150万の費用がかかる計算になります。
また、住宅密集地で重機が空き家の前まで入れない、電線に引っかかる恐れがあるなど、解体しにくい立地の場合は割高になります。
親の家財道具などがそのまま残っている場合、その処分費用もかかるため、少しでも費用を抑えるためには、できる限り不用品を処分したほうが良いでしょう。

費用の負担はどうなるのか

共有名義の場合、その費用をだれが負担するのかといったことに関して、とくに法律上のルールはありません。
共有者のうちの1人が全額負担する、一部の方が負担する、共有者全員で負担するなど、どの方法を選択しても問題ありません。
ただし、共有財産は共有者それぞれに持分があります。
民法では、共有財産の管理行為については、持分割合に応じて負担することとしています。
このことから、空き家の解体費用についても、持分割合に応じて支払うのが一般的です。
たとえば、兄の持分割合が2/3、弟が1/3だとします。
そして、空き家の解体に150万円かかったのであれば、兄が100万円、弟が50万円負担するケースが多いです。
解体費用の負担については、親族同士で揉める可能性があるため、持分割合に応じて負担する方向で話し合いをしたほうが、不公平が生じずスムーズに進むでしょう。
なお、空き家の解体費用については、自治体から補助を受けられる可能性があるため、確認してみることをおすすめします。

まとめ

共有名義の空き家は、共有者全員の同意を得なければ解体できないため、亡くなっている方がいる場合はその相続人、音信不通の方がいる場合は不在者財産管理人の同意を得る必要があります。
共有者が多く、意見の異なる方がいる場合は、話し合いが長期化する可能性があるため、スケジュールに余裕をもって話を進めることが大切です。
また、解体費用はだれが負担しても問題ありませんが、持分割合に応じて負担するのが一般的です。