共有名義の不動産を親族間売買するメリットとは?注意点もあわせて解説

共有名義の不動産を親族間売買するメリットとは?注意点もあわせて解説

複数の相続人が不動産を相続する権利を持った場合などに、共有名義で不動産を所有することがあります。
共有名義の不動産のうち、共有持分を売却したくなった場合、売却先の候補となるのが「親族」です。
今回は、不動産の共有持分を親族間売買するメリットや、売却までの流れ、そして注意しておきたいトラブルと対処法について解説します。

共有名義の不動産を親族間売買するメリット

共有名義の不動産を親族間売買するメリット

共有名義の不動産を売却したい場合は、買主の候補に親族も含めましょう。
親族に対しておこなう不動産売却のことを「親族間売買」といいます。
まずは、共有名義の不動産を親族間売買するメリットについて、3つのポイントに分けてご紹介します。

メリット①単独所有に変わるため活用しやすくなる

不動産が共有名義のままでは、不動産全体を売却したり、不動産に抵当権を設定したりしたい場合に、共有者全員から合意を得なければなりません。
仮に3人の共有者がいるとして、2人が売却に賛成したとしても、残りの1人が反対すると、不動産全体の売却ができないのです。
しかし、親族間売買によって共有名義を解消すると、所有権を取得した人物が単独で不動産を所有できるため、売却や賃貸経営を含めた活用がしやすくなります。

メリット②納税義務や管理にかかる費用の支払いを回避できる

不動産の共有持分を売却する方のメリットとして挙げられるのは、不動産の納税義務や管理といった作業から回避できることです。
たとえ所有している不動産が空き家だとしても、共有持分に応じた固定資産税や都市計画税は、毎年支払い続けなければなりません。
ただし、将来的に売却や活用を検討する場合は、維持コストを含めて親族同士で十分に協議しておく必要があります。
不動産がアパートやマンションといった集合住宅の場合、管理費や修繕積立金といった費用も毎月請求されます。
一戸建ての場合は、10年~20年おきに大規模修繕をおこなって建物を維持・管理する必要があり、工事を依頼する場合は数百万円単位の工事費がかかるでしょう。
親族間売買で共有名義を解消すると、このような税負担や管理にかかる費用の支払いから回避できます。

メリット③時価よりも安い価格で購入しやすい

不動産の共有持分を購入する方のメリットは、時価よりも安い価格で不動産を購入できる可能性が高いことです。
親族間売買の売主は親族であるため、買主の金銭的な事情などに一定の配慮をするケースも多く、相場よりも安く不動産を取得できる場合があります。
また、不動産会社による仲介を受けずに売買ができることも親族間売買の特徴であり、第三者に売却する場合と違い仲介手数料もかかりません。
売買価格が安すぎると「みなし贈与」となり、贈与税が発生する恐れがあります。
売買価格が時価から大きく離れていると贈与とみなされる場合もあるため、適正価格を確認してから親族間売買を進めることが重要です。

共有名義の不動産を親族間売買する流れ

共有名義の不動産を親族間売買する流れ

共有名義の不動産を親族間売買する場合の流れは、通常の不動産売却とは一部が異なります。
スムーズに親族間売買を成立させるためには、全体の流れを把握することが重要です。
共有名義の不動産を親族間売買する流れについて、3つのステップに分けて解説します。

親族間売買の流れ①名義人を集めて話し合いをおこなう

親族間売買の流れで最初のステップとなるのが、不動産を共有している親族との話し合いです。
不動産を売りたい方と買いたい方の利害や思惑が一致しなければ、そもそも親族間売買は成立しません。
自分自身が共有部分を売却したい場合は、買主が単独で不動産を所有するメリットを明確に伝えると効果的です。
反対に、自分自身がほかの名義人の共有部分を購入したい場合は、共有者が共有部分を手放すメリットを伝えると有効です。

親族間売買の流れ②売買に向けた合意形成をとる

親族間で話し合いをおこない、双方が売買の意思を固めた場合は、売買に向けた合意形成を図るために具体的な売買条件を設定します。
売買価格の決め方ですが、基本的には「不動産の時価×共有持分割合」をもとに計算するため、あらかじめ不動産の時価と共有者ごとの共有持分割合を調べておきましょう。
支払い方法は一括払いと分割払いのいずれかで、こちらも親族間の話し合いによって決定します。
ただし、親族間売買では一般的な住宅ローンが利用しづらい場合が多いものの、取り扱う金融機関が存在するため、事前に金融機関へ相談する必要があります。
そのため、買主に一括で支払う余裕がない場合は、分割払いを選ぶ必要があります。

親族間売買の流れ③移転登記をおこなう

合意形成により、最終的な売買条件が確定したら「共有持分売買契約書」を作成しましょう。
共有持分売買契約書は、この後に実施する移転登記の際に必要な書類です。
親族間の関係性が良好だと、契約書の作成が不要と考えるかもしれませんが、手続きをスムーズに進めるために作成することをおすすめします。
移転登記は不動産を管轄する法務局でおこない、先述した共有持分売買契約書のほかに、登記申請書や住民票、印鑑登録証明書、固定資産評価証明書といった書類が必要です。
また、移転登記の際は登録免許税の支払いが必要になり、税額は固定資産税評価額×登録免許税率によって計算します。
必要書類と登録免許税を用意したら、管轄する法務局に提出し、登記識別情報通知書を受け取るのが親族間売買の基本的な流れです。
手続きを無事に進められるか不安な場合は、別途手数料がかかりますが、司法書士に移転登記の代行を依頼すると良いでしょう。

共有名義の不動産を親族間売買する場合の注意点と対処法

共有名義の不動産を親族間売買する場合の注意点と対処法

共有名義の不動産の親族間売買は、売主と買主双方のメリットを生む可能性があります。
しかし、親族間売買ならではの問題点もあり、売買時にトラブルが起こり得る点に注意が必要です。
親族間売買で起こり得るトラブルの内容を注意点としてご紹介したうえで、有効な対処法を解説します。

注意点①価格交渉で対立する可能性がある

親族間売買の場合、不動産会社による査定を受けずに売買条件を決めるケースが多いため、価格交渉が難航する可能性があることが注意点です。
気心の知れた親族間同士とはいえ、買主はできるだけ安く買いたい、売主はできるだけ高く売りたいと考えるのは自然なことといえます。
売買価格で双方の折り合いが付かない場合は、親族間売買をいったん諦めることも視野に入れたいところでしょう。
最終的な合意を得られたとしても、買主と売主のいずれかが条件に納得していなかった場合、後々のトラブルの原因となるリスクがあるためです。

注意点②契約書に不備が生じる場合がある

先述したように、移転登記を完了させるためには、売買契約時に契約書を作成する必要があります。
しかし、不動産に関する専門的な知識を持たない人物が契約書を作成すると、法的な面での不備が生じる可能性があることも注意点です。
契約書に不備があると、契約書そのものが無効となり、移転登記を進められない可能性があります。

トラブル防止のために不動産仲介会社の利用がおすすめ

先述した注意点を踏まえつつ親族間売買を成立させたい場合は、不動産仲介会社による仲介を受けることをおすすめします。
不動産仲介会社は、価格交渉に参加して中立的な意見を述べたり、契約書の作成を代行したりといった役割を果たすため、トラブル防止に役立ちます。
金融機関とのやり取りに不慣れな場合も、仲介会社に相談することで負担を軽減できます。
仲介手数料が発生することは注意点ですが、ミスなく親族間売買をおこないたい場合は、不動産仲介会社の利用を検討しましょう。

まとめ

共有名義の不動産の親族間売買とは、共有者同士が合意を得たうえで売買をおこなうことです。
親族間で話し合いをおこなって合意形成をとり、移転登記をおこなうのが、共有名義の不動産を親族間売買する流れです。
親族間売買にはいくつかの注意点があるため、ミスなく取引をするために、仲介会社の利用をおすすめします。