
成年後見人の不動産売却について!申立て手順も解説

ご家族が認知症などの理由で判断能力が低下してしまい、所有している不動産を売却したくても手続きが進められずにお困りではありませんか。
名義人本人の意思確認ができない状態では、たとえ親族であっても勝手に不動産を売却することはできず、空き家のまま放置すれば建物の老朽化や高額な維持管理費の負担といったリスクが生じます。
本記事では、そのようなお悩みを解決に導く「成年後見制度」を利用した不動産売却や、家庭裁判所での申立て手続き、実際の売却手順や注意点までを解説します。
大切なご家族の財産を守りながら、安全かつスムーズに不動産の売却を進めたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくださいね。
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成年後見制度とは

不動産売却の準備として、成年後見制度には主に法定後見と任意後見の2種類があることを、おさえる必要があります。
まずは、成年後見制度の仕組みと種類について、解説していきます。
制度の創設背景と目的
成年後見制度は、認知症や知的障がいなどで判断能力が十分でない方を支えるための制度です。
高齢化が進むなかで、ご本人の意思を尊重しながら財産を管理できる仕組みが求められてきました。
以前は、戸籍への記載などが課題とされていましたが、現在は尊厳に配慮した制度へ見直されています。
1999年の改正以降は、自己決定権を大切にし、残された判断力や行動力をいかす考え方が重視されました。
また、障がいの有無に関わらず、地域で共に暮らすという理念も制度の土台になっています。
成年後見制度は財産を守るだけでなく、その方らしい暮らしを支える大切な役割を持つのです。
法定後見と任意後見の違い
成年後見制度には、すでに判断能力が低下した後に使う法定後見と、元気なうちに備える任意後見があります。
法定後見は家庭裁判所へ申立てをおこない、ご本人の状態に応じて後見、保佐、補助の3類型から選ばれます。
裁判所が支援者を決めるため、状況に応じた支援を受けやすく、取消権によって財産を守りやすい点が特徴です。
ただし、家族以外の専門職が選ばれる場合もあり、その際はご本人の財産から報酬を支払います。
一方の任意後見は、信頼できる方と公正証書で契約を結び、将来の支援内容を事前に決めておく制度です。
希望を反映しやすい反面、取消権がないため、報酬や権限の範囲を契約前に確認しておきましょう。
売却時の安心感と利点
成年後見人は、不動産を売却する際にご本人の代理人として手続きを進める立場になります。
売却の必要性や価格の妥当性を確認し、ご本人の利益を優先して判断することが大切です。
たとえば、将来の介護費や医療費を見据えて売却する場合も、生活を守るという目的をはっきりさせておく必要があります。
高額な取引でも後見人の権限が示されていれば、買主や不動産会社も手続きを進めやすくなるでしょう。
契約の有効性を確認しながら進められる点は、関係者にとって大きな安心材料になります。
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申立てと必要書類の手続き

前章では、制度の基本について述べましたが、実際の申立て手続きについてもしっかりと確認しておきましょう。
ここでは、成年後見申立ての具体的な手順と、必要書類のそろえ方について解説します。
申立て手順と所要期間
成年後見の申立ては、書類の準備から家庭裁判所での審理、審判の確定と登記の順に進みます。
まず、管轄の家庭裁判所を確認し、申立書や財産目録、収支予定表などを整えましょう。
生活費や介護費の見通しをまとめておくと、売却が必要な理由も説明しやすくなります。
申立て後は、調査官がご本人や親族の意向を確認することがあるため、事前の共有も大切です。
審判後2週間が過ぎ、不服申立てがなければ手続きは確定し、法務局で登記されます。
申立てから審判までは1か月~3か月程度が目安のため、売却予定がある場合は早めに準備を始めましょう。
書類の入手ルート
申立てには、戸籍謄本や住民票、診断書、財産関係の資料など、多くの書類が必要です。
戸籍謄本は本籍地の役場で、住民票は住所地の窓口で取得することができます。
登記されていないことの証明書は法務局で交付を受けられ、公的書類は原則として発行から3か月以内のものを用意します。
診断書は主治医に専用様式で作成してもらい、介護支援専門員には本人情報シートの記入を依頼しましょう。
不動産売却を見据える場合は、登記事項証明書で名義や担保の有無を確認しておくことも必要です。
預貯金や不動産の内容を財産目録に整理し、通帳の写しなどを添えると審理が進みやすくなります。
申立て費用と注意点
成年後見の申立てでは、申立手数料800円、登記手数料2,600円、郵便切手代などが基本費用になります。
医師の鑑定が必要と判断された場合は、5万円~10万円程度を見込んでおきましょう。
司法書士や弁護士などへ書類作成を依頼する場合は、10万円~20万円程度の報酬がかかることもあります。
費用だけでなく、書類不備によって追加説明を求められる点にも注意が必要です。
不動産売却を予定しているときは、買主の予定と裁判所の審理期間にずれが出る可能性もあります。
早めに必要書類を集め、売却理由や資金の使い道を説明できる状態に整えておきましょう。
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成年後見人の手続き方法

ここまで、申立ての手順を解説しましたが、実際に後見人がおこなう売却手順や注意すべき点もおさえておきましょう。
最後に、成年後見人がおこなう不動産売却の手順と、実務における要点について解説していきます。
家裁の許可と売却手順
成年後見人が不動産を売却する際は、最初に対象物件が居住用か非居住用かを確認します。
現在住んでいる家だけでなく、過去の生活拠点や将来戻る可能性がある家も居住用として扱われます。
居住用不動産を売却する場合は、ご本人の生活環境を守るため、家庭裁判所の許可が必要です。
申立てでは、医療費や施設費の確保など、ご本人の利益につながる理由を丁寧に説明しましょう。
売買契約書案や査定書など、売却の必要性と価格の妥当性を示す資料も添付します。
非居住用の賃貸物件や空き地は原則として許可なしで売却できますが、後見監督人がいる場合は事前に同意を得ておくと安心です。
売却活動から契約まで
売却活動を始める際は、査定を受けて相場を確認し、価格の根拠を整理しておきます。
査定書は、裁判所へ売却価格の妥当性を示す資料にもなるため、内容を丁寧に確認しましょう。
その後、不動産会社と媒介契約を結び、買主への説明や内見日程の調整を進めます。
ご本人が居住中の場合は、生活リズムや心身への負担に配慮しながら見学対応をおこなうことが大切です。
居住用不動産では、家庭裁判所の許可を条件に効力が生じる停止条件付売買契約を結ぶケースが一般的です。
契約書にはご本人と後見人の署名押印をし、権限を示す書類を添えて、許可までの流れも買主へ伝えておきましょう。
代金管理と事後手続き
決済後の売却代金は、ご本人名義の口座へ入金し、後見人の個人口座とは分けて管理します。
資金の流れを理解しておけば、裁判所への報告や今後の収支管理も進めやすくなるでしょう。
得られた資金は、ご本人の生活費や医療費、施設費など、ご本人のために計画的に使うことが基本です。
引渡し後は、売買契約書や通帳の写しを添えて、裁判所へ事後報告をおこないます。
また、売却で利益が出た場合は、翌年に譲渡所得として確定申告が必要になる場合があります。
取得費や譲渡費用の資料を整理し、3,000万円特別控除などの適用可否は税理士へ相談しながら確認しましょう。
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まとめ
認知症などで判断能力が低下した方を支える成年後見制度には、法定後見と任意後見の2種類があり、活用することで安全な不動産売却が可能になります。
制度の利用には、家庭裁判所への申立てと医師の診断書などの書類準備が必要で、手続き完了までに1か月~3か月程度の期間と費用がかかります。
居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必須であり、適切な代金管理と事後報告をおこなえば、売却を無事に成功へと導くことができるでしょう。
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