相続税の取得費加算の特例について!併用できる税制も解説

相続税の取得費加算の特例について!併用できる税制も解説

ご親族から不動産を相続するご予定があり、多額の相続税や将来売却する際にかかる税金への対策でお悩みではありませんか。
専門的な税金の制度は難解で放置してしまいがちですが、有効な特例を知らないままでは手元に残る大切な資産が大きく目減りしてしまう可能性があります。
本記事では、相続した不動産を売却する際の税負担を大幅に軽減できる「相続税の取得費加算の特例」の仕組みや注意点から、併用できる有利な税制まで解説します。
不動産の相続を控えており、少しでも財産を残すための具体的な節税方法を知りたい方は、ぜひご参考になさってくださいね。

取得費加算の特例とは?

取得費加算の特例とは?

相続税の取得費加算の特例を理解するには、主にその仕組みや適用要件から押さえる必要があります。
まずは、制度の概要や具体的な計算方法について、解説します。

特例の目的と取得費

相続した不動産を売却して利益が出ると、売却益に対して譲渡所得税がかかります。
しかし、相続時に相続税を納めている場合、売却時にも税金が重なるため、負担が大きく感じられるでしょう。
そこで、納付した相続税のうち売却不動産に対応する金額を取得費へくわえられる制度が用意されています。
取得費には、購入代金や建築費だけでなく、仲介手数料や印紙代、登録免許税、測量費なども含まれます。
ただし、建物は経年による価値の減少分として減価償却費を差し引いて計算する点に注意が必要です。
この特例を使うと、売却価格から差し引ける金額が増え、結果として譲渡所得を抑えやすくなります。

特例の適用要件とは

この特例を使うには、売却する不動産を相続または遺贈によって取得していることが前提です。
さらに、その財産を取得した方に相続税が課税され、実際に納付している必要があります。
相続税額が0円の場合は、取得費へ加算する税額がないため、制度の対象にはなりません。
また、売却期限は相続開始の翌日から、相続税申告期限の翌日以後3年以内と決められています。
相続税の申告期限は原則10か月以内なので、実際に使える期間はおおむね3年10か月以内です。
不動産売却には、買主探しや条件調整の時間がかかるため、早めに資料をそろえて進めると良いでしょう。

具体的な計算式と例

取得費へ加算できる金額は、納付した相続税額に、売却不動産が相続財産全体に占める割合を掛けて求めます。
たとえば、相続財産が1億円で、売却する土地の評価額が4,000万円なら、割合は40%です。
納付した相続税が1,000万円であれば、その40%にあたる400万円を取得費へ加算できます。
もし土地を5,000万円で売却し、通常の取得費と譲渡費用が600万円だった場合、特例なしの譲渡所得は4,400万円です。
しかし、特例を使えば400万円を差し引けるため、譲渡所得は4,000万円まで下がります。
長期譲渡の税率を前提にすると、税額に約81万円の差が出る計算となります。

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取得費加算の特例が適用できないケース

取得費加算の特例が適用できないケース

前章では、特例の基本要件について述べましたが、状況によっては適用できないケースもあります。
ここでは、特例が使えない事例や注意点について、解説します。

贈与が対象外の理由

生前贈与で受け取った不動産も使えると思われがちですが、取得費加算の特例は原則として対象外です。
なぜなら、この制度は相続または遺贈で取得した財産について、相続税と譲渡所得税の負担を調整する仕組みだからです。
贈与は、生前に当事者同士の合意で財産を無償で移す契約を指します。
そのため、親から子へ名義を移した場合でも、死亡を原因とする相続とは税務上の扱いが異なるのです。
贈与税を納めていても、相続税の取得費加算とは別の制度として考える必要があります。
将来売却する予定がある不動産は、まず取得の経緯を確認しておくと判断しやすくなるでしょう。

夫婦間取引の注意点

夫婦間の名義変更は、身近な手続きに見えますが、税務上は慎重な確認が必要です。
対価を支払わずに名義だけを移すと、たとえ夫婦間であっても贈与として扱われる場合があります。
その結果、贈与で受け取った不動産は、取得費加算の特例の対象外となります。
一方で、配偶者が相続で不動産を取得した場合でも、相続税の納付額を確認しなければなりません。
配偶者には、1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額まで相続税がかからない軽減措置があり、相続税が0円になるケースも多いためです。
納付した相続税がなければ取得費に加算できないため、他の控除制度との関係も整理しておきましょう。

他の税制との関係性

贈与で取得した財産でも、相続時精算課税制度を利用している場合は扱いが変わることがあります。
この制度は、贈与時の負担を抑えつつ、最終的に相続税の計算で精算する仕組みです。
さらに、亡くなる前の一定期間内におこなわれた生前贈与は、相続財産へ戻して計算される場合があります。
対象期間は従来の3年以内から、段階的に7年以内へ広がっているため、取得時期の確認も欠かせません。
つまり、取得原因が贈与でも相続税の計算へ組み込まれていれば、特例を使える可能性があります。
ただし、相続税申告書に財産が正しく反映されていることが前提になるため、申告内容を丁寧に確認しましょう。

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取得費加算の特例と併用可能な有利な税制

取得費加算の特例と併用可能な有利な税制

ここまで、特例の要件や注意点を解説しましたが、組み合わせて使える有利な税制も押さえておきましょう。
最後に、特例と併用できる制度やその申告手続きについて、解説します。

3,000万円控除の併用手順

3,000万円特別控除は、一定のマイホームを売却したときの利益から最大3,000万円を差し引ける制度です。
取得費加算の特例と併用する場合は、まず相続税の申告内容とマイホームとしての控除要件を確認します。
次に、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引き、譲渡所得を計算します。
そのうえで、取得費加算により相続税の対応額を上乗せし、残った譲渡所得から3,000万円特別控除を差し引く流れです。
なお、相続空き家の3,000万円控除は取得費加算の特例と併用できないため、制度名を混同しないようにしましょう。
基本的には、相続税申告を済ませたあと、売却した翌年に所得税の確定申告をおこないます。

小規模宅地特例の併用

小規模宅地等の特例は、相続税を計算する際に、一定の宅地の評価額を大きく下げられる制度です。
たとえば、評価額5,000万円の自宅の土地で80%の減額を受けると、課税上の評価額は1,000万円になります。
そのため、相続税の負担を抑えやすく、相続後の資金計画も立てやすくなるでしょう。
そして、その不動産を売却するときに取得費加算の要件を満たせば、両方の制度を使える可能性があります。
ただし、取得費へ加算できるのは実際に納付した相続税の対応額に限られます。
小規模宅地等の特例で相続税が下がると、売却時に加算できる金額も小さくなる点を押さえておきましょう。

複数併用時の申告手続

複数の制度を使う場合は、相続税申告と所得税の確定申告で、必要書類を分けて整理すると進めやすくなります。
相続税の申告では、遺産分割協議書や評価明細、相続税申告書などを準備します。
一方で、譲渡所得の申告では、売買契約書や取得費がわかる資料、仲介手数料などの領収書が必要です。
また、取得費加算を使うなら相続税額の計算明細を用意し、3,000万円特別控除では要件を示す書類も確認します。
最終的には、確定申告書に各特例の明細書を添付して、税務署へ提出する流れです。
専門家へ相談するときは、相続税申告書の控えと売却予定時期を伝えておくと話がスムーズに進むでしょう。

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まとめ

相続税の取得費加算の特例とは、相続不動産を3年10か月以内に売却した際、納付した相続税の一部を取得費にくわえて税負担を減らせる制度です。
生前贈与や夫婦間の名義変更など相続以外で取得した場合や、配偶者の軽減措置などで相続税納付額が0円の場合は、適用対象外となります。
3,000万円特別控除や小規模宅地等の特例と併用できるため、条件を確認し必要書類を整理すれば、より有利でスムーズに申告できるでしょう。

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