不動産の「心理的瑕疵」とは?売却時に知っておきたいポイントについて解説

不動産を売却する際には、瑕疵(欠陥や不具合)に注意しなければなりません。
瑕疵には、いくつか種類があり、なかでも「心理的瑕疵」は修繕できるものではないため、売却価格にも2~5割ほど安くなったりと大きく影響します。
今回は、心理的瑕疵とはどのような瑕疵なのか、心理的瑕疵が物件の売却価格に与える影響と、買主への告知義務について解説します。
不動産の売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
不動産の売却時に知っておきたい「心理的瑕疵」とは

冒頭でもお伝えしたように、不動産の売却時に注意しなければならない「瑕疵」には、いくつか種類があります。
まずは、瑕疵の種類と心理的瑕疵の概要について解説します。
瑕疵の種類
不動産の瑕疵は、以下の4つの種類に分けられます。
●物理的瑕疵
●法律的瑕疵
●環境的瑕疵
●心理的瑕疵
これらの瑕疵の種類について、順番に解説します。
物理的瑕疵
物理的瑕疵とは、土地や建物自体に存在する欠陥や問題を指します。
たとえば、雨漏りや壁のヒビ、シロアリ被害、土壌汚染などが該当します。
法律的瑕疵
法律的瑕疵は、建築基準法や都市計画法、消防法など建物に関する法律で定められたルールに適合していない問題を指します。
たとえば、接道義務を果たしていない、建ぺい率オーバーなどが挙げられます。
環境的瑕疵
環境的瑕疵は、不動産の周辺環境に関する問題です。
具体的には、騒音や振動がひどい、日当たりや風通しが悪い、近所に嫌悪施設(墓地やごみ処理場など)があるケースが該当します。
心理的瑕疵
心理的瑕疵は、買主が心理的な抵抗感や嫌悪感を抱いてしまうような問題を指します。
ほかの瑕疵のように、物件自体には問題がなく、過去に起きたことが要因です。
どのような問題なのか、具体的に解説します。
心理的瑕疵の具体的な内容
心理的瑕疵がある物件は「心理的瑕疵物件」といい、過去に起きた事件や事故によって人が亡くなった、いわゆる事故物件です。
たとえば、殺人事件の現場となった、火災で人が亡くなった、自殺した、死後長期間経過したことによって遺体が腐敗していたなどのケースが挙げられます。
ほかの瑕疵との違い
心理的瑕疵は、ほかの3種類の瑕疵とは性質が異なります。
物理的瑕疵や法律的瑕疵は、物件自体に生じている欠陥です。
環境的瑕疵は、物件そのものの欠陥ではありませんが、現在起きているもので、買主がその内容について確認することができます。
心理的瑕疵は、過去に起こったことによる問題であり、買主が確認することはできません。
とはいえ、そのことを隠して売却するのはルール違反です。
なぜなら、瑕疵がある物件を売却する場合、売主にはその内容を買主に伝える告知義務があるからです。
心理的瑕疵物件の売却に関する告知義務については、次章でそのポイントを具体的に解説します。
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不動産の売却時に心理的瑕疵が売却価格に与える影響

心理的瑕疵物件の所有者のなかには、「そもそも売却できるのだろうか」と不安な方も多いでしょう。
結論からいうと、心理的瑕疵物件を売却することは可能です。
ただし、一般的な不動産に比べて、売却しにくいことは否めません。
また、売却価格も市場相場より安くなるのが一般的です。
そこで次に、心理的瑕疵があることで、売却価格がどれくらい安くなるのか解説します。
売却価格は相場より2割~5割ほど安くなる
心理的瑕疵物件の売却価格がどれくらい安くなるのかは、事件の内容にもよります。
殺人
殺人の場合、市場相場の5割ほど安くなるのが一般的です。
殺人と聞くだけで、室内に血液などが飛び散ったことが予想でき、恐怖心や嫌悪感を抱く方がほとんどです。
また、殺人事件の場合、ニュースなどで広く報道されたり、事故物件サイトに掲載されたりなどして、嫌なイメージがついてしまっています。
殺人が起きた物件をすすんで買いたいと考える買主はほぼいないため、少しの値下げで売れることはほとんどないでしょう。
自殺
自殺の場合、市場相場の3割ほど安くなるのが一般的です。
殺人ほど凄惨な現場となったイメージは持たれませんが、状況を想像してしまい、敬遠されます。
また、自ら死を選ぶほどの悩みを抱えて生活していた場であるため、「後悔の念から死んだ方の靈がいるのではないか」と考える方もいます。
孤独死や自然死
高齢者の方の孤独死が近年増えていますが、自然死の場合は心理的瑕疵に該当しないケースが多く、殺人や自殺などと比較すると、価格への影響は小さいです。
とはいえ、人が亡くなった事実に対して敬遠する方が多く、市場相場どおりの価格では売却しにくいでしょう。
実際の価格は買主によって異なる
心理的瑕疵について、実際のところは買主がどのように受け取るかで売却価格に差が生じます。
ポイントは、買主が居住に対して不安を感じるかどうかです。
たとえば、自然死であっても購入したくないと考える方もいれば、殺人事件があった不動産でも、あまり気にならない方もいます。
心理的瑕疵物件があるエリアが人気エリアで、リフォームして室内の状態がきれいであれば、少しの値下げで売れることもあります。
したがって、心理的瑕疵物件だからと諦める必要はありません。
ただし、需要が低い間取りやエリアの場合、市場相場より低い価格で売り出しても、買主が現れない可能性があります。
売却期間中は維持管理が必要で、精神的にも肉体的にも負担が大きい場合は、不動産会社の買取も検討してみましょう。
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心理的瑕疵物件の査定額を左右する3つのポイント
心理的瑕疵物件の査定は、通常の物件よりも慎重に行われます。不動産会社が査定時にどこを見ているのか、その評価ポイントを解説します。
●特殊清掃とリフォームの実施状況
遺体の発見が遅れた場合、床や壁に染み付いた臭いや汚れが査定額に直結します。「特殊清掃」が完了しているか、あるいはフルリフォームで設備を一新しているかは、査定額の下げ幅を抑える重要な要素です。
●「事故物件サイト」などのネット上の露出度
有名な事故物件サイト(大島てる等)に掲載されているか、当時のニュースがネット上に残っているかも査定に影響します。情報の拡散度が高いほど、買い手を見つけるのが難しくなるため、査定額は厳しくなりがちです。
●用途の転換可能性(更地化や投資用)
建物を取り壊して更地にできるか、あるいは「訳あり物件」を好む投資家向けの利回りが確保できるかによって、査定の視点が変わります。
不動産の売却時には心理的瑕疵に関する告知義務がある

不動産売却時には、瑕疵について買主に告知する義務があることを前章で解説しました。
しかし、すべての死に関して告知しなければならないわけではありません。
告知義務の有無を判断する基準
国は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表し、そのなかで以下のような基準を示しています。
告知義務あり
●不自然な死…他殺・自殺・火災などで人が亡くなった場合
●発見が遅れた自然死…死後長期間経過したため遺体が腐敗し、体液などが染みつき特殊清掃をおこなった場合
そのほか、原因がわからない死についても、状況によっては「告知義務がある」とみなされます。
告知義務なし
●自然死…老衰や病死
●日常生活で起きた不慮の死…入浴中や階段からの転落、浴槽での溺死、食事中の誤嚥など
自然に訪れる死や事件性がない死については、人が居住している住宅であれば、想定できることから「告知義務はない」とされています。
いつまで告知しなければならないのか
殺人や自殺などが起きた事実について、いつまで告知義務があるのか疑問に思う方も多いでしょう。
告知義務の期間について、賃貸借取引では原則3年間としていますが、売買に関しては期限を定めていません。
つまり、売買取引では告知義務は継続するということです。
事件から何年経過していても、その不動産を売却する際には、事件の日時や内容についてかならず告知しましょう。
告知義務を怠るとどうなるのか
告知義務がある物件を、買主に告知せずに売却した場合は、告知義務違反となります。
違反すると、契約不適合責任を問われ、買主から損害賠償や契約解除を求められます。
したがって、告知しなければならないような内容については、包み隠さず告知し、買主の同意を得たうえで契約を結ぶことが大切です。
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心理的瑕疵物件に関するよくある質問
- Q1.心理的瑕疵物件の査定は、どこの不動産会社に頼んでも同じですか?
- A1.いいえ、異なります。
一般的な不動産会社はリスクを避けて査定額を低く見積もったり、仲介を断ったりするケースもあります。
- Q2.査定の際、どこまで正直に話すべきですか?
- A2.すべてを正直に話す必要があります。
心理的瑕疵の内容を隠して査定を受け、そのまま売却してしまうと、後に「告知義務違反」として損害賠償請求や契約解除を求められる大きなリスクに繋がります。査定の段階で正確な情報を伝えることで、トラブルのない安全な取引が可能になります。
- Q3.心理的瑕疵があるマンションでも、高く査定してもらう方法はありますか?
- A3.はい、あります。
専門業者による「特殊清掃」や「消臭作業」を完了させておくことや、壁紙や床の張り替えといった「リフォーム」を行うことで、買い手の心理的抵抗感を和らげ、査定評価のダウンを最小限に抑えることができます。
- Q4.事故から10年以上経過していれば、告知なしで普通に査定・売却できますか?
- A4.売買の場合、時間の経過だけで告知義務がなくなるという明確な基準はありません。
たとえ10年以上前であっても、近隣住民が記憶していたり、ネット上に情報が残っていたりする場合は「心理的瑕疵」とみなされます。後々のトラブルを防ぐためにも、査定時には必ず伝えるようにしましょう。
まとめ
心理的瑕疵とは、心理的な抵抗感や嫌悪感を抱くような問題のことで、心理的瑕疵物件は、殺人や自殺で人が亡くなった過去があるいわゆる事故物件を指します。
心理的瑕疵物件の売却価格は、事件の内容にもよりますが、市場相場の2割~5割ほど安くなるのが一般的です。
また、心理的瑕疵については、告知義務の基準が定められており、違反すると損害賠償や契約解除などのペナルティがあるため、売却時にはしっかり告知して安全な取引をおこないましょう。
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